>>370
机に胡座をかくヤンは、ユリアンがいれた紅茶をすすりながら答えた。
「帝国では、そんな話があったらしいね。
 でもねえ、上の人が前線に出てくるなんて、現場の兵には迷惑千万なんだよ。
 警備が大変だし、身なりとか散らかしてるものを片付けなきゃいけないし。
 何より、勝手な指示を思い付きで出していくんだ。
 無視するほうの身になって欲しいよ」

その返答に、ユリアンは首を傾げた。

「無視するんですか?」

 ヤンは、さも当然のように頷いた。

「そりゃそうだよ!
 命令無視は営倉要りとか更迭とかで、とにかく敵に撃たれて死なずに済むからね」