>>80の続き
■軍用ブーツさえなく、兵士はランニングシューズを履いている…

中古物資も多く集まった。 英デイリー・メール紙は、中古のラジオや懐中電灯、パイロット用のヘルメットなどが寄せられたと報じている。
部隊は寄贈の成果報告のため、メッセージ・アプリ「Telegram」のチャンネルに複数の写真を投稿している。

うち一枚は、年季の入ったスホーイSu-25戦闘機を背に集合した兵士たちだ。
誇らしげな兵士たちとは裏腹に、同紙は目ざとく、「パイロットのひとりは標準装備の軍用ブーツさえなく、ランニング・シューズを履いている」と指摘している。

クラウドファンディングに協力したロシア国民たちの心情は複雑だ。
兵士たちへは激励のコメントを残したが、ロシア軍の上官たちに対しては、これほどまでに酷い準備不足とは何事かと、辛辣な意見を多く残している。

■「装備が兵士らの元に届いただけでも感動的」と米メディア

ソフリプ誌は、本来ならばロシア軍ほどの軍隊において、電動ドライバーなどの基本的な工具が足りない事態は起き得ないと説く。
同誌はこの異常事態について、ロシア軍のモラル崩壊が影響しているのではないかとみる。
「端的にいうなら、これら(寄贈された品々)は、このレベルにある軍隊が求めるはずのものではない。
この出来事は、ロシア軍と政府を悩ませる腐敗の酷さを物語っている。 ロシア兵たちはおそらく軍から工具を盗み出し、売り払っている」との推論だ。

さらに同誌は、「ロシア社会によくみられる収賄、贈賄、汚職のレベルを鑑みれば、装備が兵士らの元に届いただけでも感動的である」
とも述べ、輸送ルート上に待ち構えるほかの部隊に強奪されなかっただけでも奇跡的だとの見方を示している。
兵站網の弱さが指摘されるロシア軍だが、ルート上で物資が続々と持ち去られていることで、状況がさらに悪化している可能性がありそうだ。

なお、仮に物資や兵器が仮に前線の部隊に届いたとしても、活用できるかはまた別の問題だ。
英ガーディアン紙は6月7日、ロシア兵らが酷い訓練不足の状態にあると報じている。(続く)