ロシア、中央アジアで戦闘員募集か 兵力不足の政権、高給と国籍提示
https://mainichi.jp/articles/20220730/k00/00m/030/017000c

ウクライナ侵攻で兵力不足に悩むロシア軍が、中央アジアの旧ソ連・キルギスで「企業の警備員」などの求人を装い、戦闘員の募集を始めた模様だ。ウクライナ紙ウクラインスカ・プラウダ(電子版)が中央アジアの報道を引用する形で29日までに伝えた。同様の求人広告は隣国ウズベキスタンでも確認されたという。

 報道によると、ロシアの民間軍事会社ワグネルが求人に関与しているとみられる。中央アジアのジャーナリストがSNS(ネット交流サービス)に出された求人広告の連絡先に問い合わせたところ、雇用者側は月給10万ルーブル(約21万円)の警備員ではなく、「ウクライナの戦闘地域で月給24万ルーブル(約50万6000円)の任務」を紹介。応募すれば「ロシア国籍取得にも道が開ける」と述べたという。

 米シンクタンク「戦争研究所」も26日、同様にロシアが中央アジアから人員を募集しているとの見方を示した。

 欧米情報機関もロシアの兵力不足を指摘しており、英情報機関・秘密情報部(MI6)のムーア長官は21日、米国での講演で「ロシア軍は今後数週間で人員確保がさらに困難になる」と分析。そのうえで、これまで前線に送られた兵士は貧しい農村の若者や少数民族出身者が多く、プーチン露大統領はモスクワなど都市部の中流家庭の若者は招集していないと述べた。

 旧ソ連構成国ではロシア語を話せる住民が多く、ロシア軍は自国の若者の代わりに周辺国での兵力確保に乗り出した可能性がある。【ロンドン篠田航一】