ドイツでは、歴史への反省から基本法にこう規定しています。

  第21条第2項 政党で、その目的または党員の行動が自由で民主的な基本秩序を侵害もしくは除去し、
または、ドイツ連邦共和国の存立を危うくすることを目指すものは、違憲である。

西ドイツ政府はライヒ党(ナチスの後継政党)と同様にドイツ共産党も違憲であると憲法裁判所に提訴しました。

ドイツ共産党は抗弁書を提出し、「自由民主主義の下では政治・結社の自由、思想・信条の自由は保障される」
と主張しました。しかし、憲法裁判所は、共産党の主張を退けました。その理由はこうです。

「具体的行動は必要でなく、政党の政治方針が自由・民主主義的基本秩序を克服しようとする意図が明らか
であれば十分である。21条2項の措置は、将来にたいする配慮であり予防措置である」

憲法裁判所は、ドイツ共産党が憲法に違反していると判断したのです。理由の結論部分のみを列記すると、

(1)マルクス・レーニン主義を信奉していること
(2)プロレタリア革命の理論を掲げていること
(3)プロレタリア独裁の理論を掲げていること
(4)プロレタリア革命とプロレタリア独裁を信奉していること
(5)プロレタリア独裁の国家・社会像と自由・民主的基本秩序とは一致しないこと

となります。共産主義の誤りを丁寧に解説し、5年の歳月の後、共産主義は憲法違反であるとの結論を導いたのです。