なぜSPは山上徹也容疑者を撃たなかったのか?
麻生 幾
https://bunshun.jp/articles/-/56390
●守られなかった「3つのマニュアル」
多くの「ベテラン警護員」が真っ先に口にしたのは次の言葉だった。
「日本警察の『警護』には3つの『マニュアル』がある。『警護要則』、『警護細則』、
そして『警護措置マニュアル』(以下、総合して「マニュアル」と略)がそれらだ。
しかし、今回の奈良県警の警護員たちはこれら『マニュアル』の重要部分をいずれも守っていなかった」
「現役の警護員」たちが指摘したのは、「基本体形」という配置であり、「警護対象者」(安倍元首相)との「距離」である。

●警視庁での研修を受けていなかった
では、奈良県警の警護レベルにはどんな問題があったのか?
全国の道府県警察本部(以下、全国警察)の警護員たちを指揮する幹部は、
1年間におよぶ警視庁警護課での研修を受けることを警察庁から強く促進されている。
しかし、今回の現場にいた警護員たちには“ある問題”があった。
警察庁は、全国警察に対し、その研修を受けるため警護担当の幹部こそ積極的に「入校」するよう強く奨励している。
しかし、今回の現場では、ある重要な警護員が「入校」していなかったのである。

●「LO」(ローン・オフェンダー)の極秘データベース
だがその一方で、犯人の人定ができた瞬間、警察庁のある部署で係官たちは、急いで立ち上げたコンピュータにかじりついた。
係官が見つめたものは「LO」(ローン・オフェンダー)と密かに称された極秘のデータベースだった──。
そこでは、対象者を危険レベルが高い順に、A、B、Cとランク付けするだけでなく、
それぞれに対する対処方法を詳細に指示しているのである──。
では、山上容疑者は「LO」データベースに登録されていたのか?

その詳細は「文藝春秋」9月号掲載の麻生幾氏のレポート「SPはなぜ山上を撃たなかったか」をご覧ください。