WBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が元王者で3団体とも同級4位のアンソニー・ジョシュア(英国)に判定勝ち。いずれも初防衛に成功した。戦績はウシクが20戦全勝(13KO)、ジョシュアが24勝(22KO)3敗。

 両雄は試合後、リングに両膝をついて、お互いに礼をすると、ウクライナ国旗を2人で持ち、肩にかけて判定を待った。勝者となったウシクは、ウクライナ国旗を頭からかぶって喜びを表した。
「私を破った彼に拍手を」とジョシュアがリング上でたたえると、ウシクは「ありがとう、サウジアラビア。ありがとう、ありがとう、ありがとう、とても」と声高らかに感謝した。
総パンチは712発のウシクに対して、ジョシュアは492発と手数では王者が圧倒。強打もウシクは315発放って131発がヒット。280発中101発命中のジョシュアを上回った。

 ウシクは昨年9月、ジョシュアを判定で破り、3団体統一王者となった。
今年2月、ロシアからの侵攻を受け、首都キーウの領土防衛軍に参加したが、3月に「ジョシュアとの再戦の準備を始めることにした」と表明。11か月ぶりの再戦は、『Rage On The Red Sea(紅海の猛威・怒り)』として注目されていた。


 ともに2012年ロンドン五輪の金メダリスト。ジョシュアがスーパーヘビー級、ウシクがヘビー級を制した。その後、プロに転向した。

 ウシクはプロ入り後、クルーザー級で世界4団体制覇王者となったウクライナのスーパースター。
米国で最も権威のあるボクシング専門誌「リングマガジン」では、全階級で最強を決めるランキング『パウンド・フォー・パウンド(PFP)』で1位も獲得し、現在は2位(1位はWBA、WBC、IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥=大橋)。

 「私の国、家族、チーム、私の国を防衛してくれる人たちすべてに感謝する。私はすでに歴史を作っている。私を倒そうとする選手が出てきても立ちはだかる」とウシク。
WBC王者タイソン・フューリー(英国)について聞かれると「彼は引退しないと思う。彼は私と戦いたいと思うし、私も戦いたい」と、クルーザー級に続いてヘビー級での4団体王座統一に積極的なコメントも、実現については「神のみぞ知るだろう」と話した。