なお、この突破作戦ですが、旧ソ連式と一般的な西側では多少手順が違っており、今回ウクライナ軍がどちらの手法を使っているかで初動の正否判断が変わりそうです。

旧ソ連方式
1)第一梯団が突破口を開き、その周辺を確保
2)確保された突破口から、OMGと第二梯団が前進
3)OMGは敵を極力迂回しつつ前進し、緊要地形を確保したり、敵増援部隊を攻撃する。
 (緊要地形を抑えられたり増援部隊が戦闘に巻き込まれると突破口への防御側の反撃が困難になる)
4)第二梯団は目標に向かい前進、これを占領する。
 第二梯団自身も2コ梯隊に分かれており、先鋒が消耗したら、すかさず後続が超越し前進を継続する。

※OMGは西側の所謂先遣部隊や援護部隊(カバーリングフォース)に比べ大規模。
 軍団規模の攻撃であれば、1コ旅団程度が使用される。
 (西側だと増強大隊程度)

西側標準方式
1)攻撃部隊が敵戦線に衝撃をもって攻撃し、そのまま突破。
2)突破後の再編成時に一部部隊を支隊(TF、先遣、援護)として先遣し緊要地形を確保
 (緊要地形を確保防御し敵の反撃を抑えるのが目的、あまり積極的な攻撃は控える=冷戦時の米軍旧機甲騎兵を除く)
3)再編成後に前進を再開した主力部隊は増援を得ながら前進し、目標を占拠もしくは撃破する。
 (限界に達した場合、予備部隊と交代)

ウクライナが「旧ソ連方式の攻撃を行っているのら、まだ後続梯団の投入で事態打開もありそうですが
西側標準の攻撃を行っていた場合、現状で再編成もしくは交代(超越ではない)になるので
今回の初動は失敗、再開までそれなりの時間が必要という事になります。