菅前総理のスピーチ

「あなたは一度持病が悪くなって総理の座を退きました。
 そのことを負い目に思って2度目の自民党総裁選出馬をずいぶんと迷っておられました。
 最後には2人で銀座の焼き鳥屋に行き、私は一生懸命あなたを口説きました。
 それが使命だと思ったからです。3時間後には、ようやく首を縦に振ってくれた。
 私はこのことを菅義偉、生涯最大の達成としていつまでも誇らしく思うであろうと思います」

「衆院第1議員会館1212号室のあなたの机には読みかけの本が1冊ありました。
 岡義武著『山県有朋』です。ここまで読んだという最後のページは端を折ってありました。
 そしてそのページにはマーカーペンで線を引いたところがありました。
 印をつけた箇所にあったのは、いみじくも山県有朋が長年の盟友、伊藤博文に先立たれ、
 故人をしのんで詠んだ歌でありました。いまこの歌くらい、私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。

 かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」