首都モスクワで迎えた大統領演説
ウクライナでは第1親衛戦車軍が壊滅、航空宇宙軍も勢いを見せず惨敗だった
赤の広場に響く市民のため息、どこからか聞こえる「明日は亡命だな」の声
無言で帰り始めるサクラ達の中、偉大なる指導者プーチンは独りクレムリンで泣いていた
レニングラードで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる同志・・・
それを今のロシアで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」プーチンは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、プーチンははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいデスクの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、また論文を書かなくちゃな」プーチンは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、プーチンはふと気付いた

「あれ・・・?モスクワ市民がいる・・・?」
執務室から飛び出したプーチンが目にしたのは、赤の広場を埋めつくさんばかりの民衆だった
千切れそうなほどに真っ赤な国旗が振られ、地鳴りのようにソビエト連邦国歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするプーチンの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「プーチン、演説だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったプーチンは目を疑った
「エ・・・エリツィンさん!?」 「なんだプーチン、居眠りでもしてたのか?」
「ゴ・・・ゴルバチョフ!?」 「どうしたんだヴォロージャ、幽霊でも見ているような顔しやがって」
「ルカシェンコ・・・」  プーチンは半分パニックになりながらパレードを見つめた
1番:Su-57 2番:T-80BVM 3番:T-90M 4番:T-14 5番: T-72B3M 6番:T-15 7番:BMD-4 8番:タルナードMLRS 9番:2S35コアリツィア-SV
暫時、唖然としていたプーチンだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ダリヤからマイクを受け取り、赤の広場へ全力疾走するプーチン、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、執務室で冷たくなっているプーチンが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った