ウクライナとロシアは、かなりの量の穀物やその他の食料を生産・輸出している。ウクライナは、国際市場で取引される食料の全カロリーの6%に相当する食料を生産している。しかし、これは世界最大の核保有国に侵略されるまでの話だ。ロシアは世界最大の小麦輸出国で(補足:ウクライナは世界5位)、国境を越えて取引されるすべての小麦の17%以上を供給している。しかしこれも、国際的な制裁を課されるまでの話だ。

ウクライナとロシアは世界最大級の小麦輸出国だ


ともかく、これまでウクライナ産やロシア産の小麦を使っていたパンの多くが、今年からはそうではなくなるだろう。黒海エリアの国々から小麦を調達できなくなるのなら、世界の人々が日々口にするパンの原料はどこから調達すればよいのか?

ウクライナの小麦収穫は半分以下に。その余波は直接の輸出先だけではない

穀物(小麦、トウモロコシ、米、大麦など)の生産については、100万トン=1MMTの単位で語られる。小麦1kgで3,400カロリーなので、1MMTの小麦だと約3.4兆カロリーとなる。これだけあれば、ヨーロッパの全人口がおよそ2日間、アフリカの全人口でも約1日半食べていける。もちろん、人間にはこれ以外にもビタミンやタンパク質が必要ではあるが。

2021年、ウクライナが生産した穀物は約80MMTだったが、2022年の収穫はその半分以下になると見込まれている。この減った40MMTのカロリーを、たとえば英国1カ国で埋め合わせるとなると、すべての英国民が3年間穀物を食べられなくなるほどの量だ。実際には、1カ国にそのしわ寄せが集中するのではなく、複数の国で少しずつ不足するという状況になる。そして近いうちに、あらゆる人々の食卓の上に影響が及ぶことになるだろう。

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