韓国語版のみ全615巻の発言録

晋太郎氏の息子で、今年7月の銃撃事件で凶弾に倒れた安倍晋三元首相が
いつ、どのように教団と深い関わりを持ったかについてはなお謎が多い。

晋太郎氏の義父・岸信介元首相と文氏との間で築かれた関係が源流にあるとされるが、
その後を継いだ晋太郎氏を足掛かりにした教団の政界工作が、教祖の肝いりで模索されていた可能性が浮かんだ。

発言録は、韓国の教団系出版社「成和出版社(現・天苑社)」が信者向けに発行した「文鮮明先生マルスム(御言(みこと))選集」。

文氏が56年から2009年に信者に向けて説教した言葉が韓国語で記され、1巻は約300~400ページに及ぶ。
文氏が死去した12年まで615巻が発行されたが、既に絶版となっており入手は困難。日本語版はない。

中略

歴代首相の氏名や日本の地名など発言は詳細で、日韓関係や天皇など敏感な話題にも具体的に触れている。

元信者で教団関連の「世界日報」記者だった金沢大の仲正昌樹教授(政治思想史)は
「文氏が韓国で語っていた内容をまとめて目にしたのは初めて。日本人の信者向けの発言集に比べると過激な印象だ」と話す。