防衛費優先、子育て予算は後回し…「倍増」掲げるが具体性なし 
出生、初の80万人割れ予想の「国家的危機」でも
https://www.tokyo-np.co.jp/article/217359

岸田文雄首相が目玉政策に掲げる子ども関連予算の「倍増」で、議論の遅れが際立っている。

達成の時期や道筋、裏付けとなる財源の検討は来年度に先送りされ、
2027年度に対国内総生産(GDP)比2%まで増額する方針が示された防衛関連費の後回しにされている。

今年の出生数は過去最少を更新し、初めて80万人を割り込む見通しだが、 少子化への危機感の薄さは否めず、専門家は「国の持続可能性がなくなる」と訴える。(坂田奈央)

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少子化対策は待ったなしの課題だ。

昨年の出生数は過去最少の81万人余りだったが、厚生労働省によると、今年9月まででは前年同期比4.9%減となり、
1947年の統計開始以来、初めて年間80万人割れとなる公算が大きい。

政府は「危機的状況」(松野博一官房長官)という認識を示すが、
子ども関連予算の倍増に向けた道筋を明らかにするのは、来年6月ごろに策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に持ち越した。

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日本大学の末冨芳教授(教育財政学)は
「国を維持するには、子ども予算の増額が喫緊の課題。防衛費の議論ばかりを優先させるべきではない」と強調。

政府の議論の遅さを指摘し、
「国民全体で将来世代を支えなければ、あらゆる社会保障制度が維持できなくなる」と警告した。