>>921

そのせいで高インフレを招き、ユーロ圏の金融市場は不安定になっている。
景気後退の危機が近づき、生活費は高騰し、計画停電の実施も現実味を帯びてきた。

ヨーロッパの一部の国々は石炭火力発電にも手を出した。
フランスのマクロン大統領らはアメリカに頭を下げ、支援を要請してもいる。

それでもなおEUは、対ロシア制裁のやり方を改めるつもりはないようだ。
2022年末にもEUはロシア産原油の輸入を禁じ、
G7各国と足並みをそろえて1バレル=60ドルの上限価格を定めている。

今回の制裁で想起されるのは、1930年にアメリカで成立したスムート・ホーリー関税法だ。
あれでアメリカは2万品目以上の輸入関税を大幅に引き上げたが、他国も報復関税で対抗した。
結果的に世界恐慌が深刻化し、ナチス・ドイツのような極右の暴力集団が台頭した。

現在でも、多くのヨーロッパ諸国の政治は右傾化している。
イタリアではムソリーニのファシスト党の流れをくむ党が政権を握り、
ポーランドとハンガリーでは右派の政権が一段と独裁色を強めている。
エネルギー価格の高騰と高インフレで経済が悪化すれば、極右勢力がさらに勢いづく。

ロシアの戦争を止めるのに本当に役立つなら、
制裁発動による高い代償を払う価値もあるという見方はあり得る。
だが現実はどうか。ウクライナの領土の5分の1弱は今もロシアの占領下にある。