ウクライナ難民流入続く 周辺国に「支援疲れ」
日本経済新聞 朝刊 国際

戦闘の長期化にともなう難民の増加で、受け入れ国は難民に一定の負担を要請せざるを得なくなった。オーストリアは11月、すべてのウクライナ人に提供していた列車の無料利用を、入国後24時間以内の移動に限定した。ポーランドでも11月末、120日以上滞在するウクライナ人に宿泊費の一部を負担させるよう規定が改正された。高齢者や妊婦などをのぞき、23年3月から政府が提供する宿泊施設の費用の50%を支払う義務が生じる。
 難民支援への不満の声もひろがる。ドイツでは東部ライプツィヒなど、旧東ドイツの都市で対ロ制裁の解除などを求めるデモが相次ぐ。一部のデモではロシア国旗を振るデモ参加者もみられた。難民支援の抑制を主張する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は着実に支持を伸ばしている。公共放送ARDがまとめた直近の世論調査によると、政党別の支持率はAfDが15%と、ショルツ首相が率いてきたドイツ社会民主党(SPD)の18%に迫る。

 難民を積極的に受け入れてきたアイルランドでも市民による反政府デモが頻繁に起きている。首都ダブリンでは難民受け入れに反対する数百人の市民らが数週間にわたり抗議活動を繰り広げた。

 ポーランドでは11月、極右政党主催のデモに数万人が参加。「ポーランドのウクライナ化を阻止せよ」などと訴えた。

 9月のUNHCRの調査によると、ウクライナ難民の68%がまだ経済活動をしておらず、47%の主な収入源は支援プログラムだという。経済協力開発機構(OECD)の試算では、ポーランドは22年だけで83億6000万ユーロ(約1兆2千億円)をウクライナ難民のために費やしたとみられる。