思い出されるのは、数年前、陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊を視察した時のことだ。
地対艦ミサイルの射程は百数十キロ。

その発射訓練は、日本近海の漁業権の制約があるため、国内では実施場所を確保できない。
そこで毎年1回、実弾射撃訓練のため、わざわざ米国まで部隊を遠征させている。

ただ、地対艦ミサイルは1発数億円もする。
このため、遠征するのは4個中隊のうち持ち回りの1個中隊だけで、さらに撃つ実弾は年1発のみだという。

まさに虎の子の実射訓練であり、普段は、コンピューターによる模擬訓練(シミュレーション)をひたすら重ねている。

少し心配になって、最近、改めて調べたところ、その後の訓練予算の制約により、実射訓練の頻度はさらに減らされたそうだ。

ある陸自幹部は「実射は隊員の技量向上に直結するものではないが、
ミサイルを撃った時の感覚など、実射でしか得られない経験もある」と、実射訓練の意義を説いている。

https://www.yomiuri.co.jp/column/henshu/20220706-OYT8T50020/2/