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2.UNSCOMの設置とイラクによる査察妨害・拒否

(1) 上記の安保理決議687は、イラクの大量破壊兵器廃棄の即時実地査察のために特別委員会(United Nations Special Commission:UNSCOM)の設置を定めており、以後UNSCOM及びIAEAは、同決議に基づき査察を実施した。

(2) その結果、核兵器不拡散条約(NPT)やIAEAとの保障措置協定に違反してイラクが核兵器開発を秘密裡に行っていたことが判明した。また、イラクは当初生物兵器の開発・製造について否定していたが、1995年、フセイン・カーメル中将の亡命後に生物兵器を製造していたことを認めた。

(3) しかしながら、1997年6月以降、イラクによる査察拒否及び妨害の事例が相次ぎ、イラクの査察拒否を非難する安保理決議が採択された(決議1115、1134、1137)。これらの決議は、イラクの態度は関連安保理決議の受け入れがたい違反であるとして、イラクがUNSCOMに対し、あらゆる施設等へのアクセスを即時かつ無条件に認めることを要求するとともに、査察妨害等に関与するイラク政府関係者の各国への入国禁止を決定した。特に安保理決議1137は、このような状況は引き続き国際の平和及び安全に対する脅威を構成していることを決定した。3/