年内に砲弾100万発をウクライナに供給可能か? 西側諸国の倉庫は空っぽ

エストニアは年内に砲弾100万発をウクライナに提供するよう要求しており「来週のEU首脳会談で何らかの決定が下される」と予想されているが、ドイツのHandelsblatt紙は「仮に提案が承認されても西側諸国の倉庫は空っぽだ」と指摘している。
レズニコフ国防相はEU加盟国に宛てた書簡の中で「利用可能な砲弾の数に制限がなければウクライナ軍の砲兵部隊は1ヶ月間に56.4万発の砲弾を使用できる。我々の計算では戦闘任務を成功させるのに最低でも月36.6万発の砲弾を必要としているが、供給不足のため砲兵部隊は発射可能な砲弾量の20%分しか使用しておらず、これはロシア軍が使用する量の1/4だ」と訴えており、EUに対して月25万発の砲弾を要求している。
1ヶ月間に56.4万発の砲弾を使用できるという言及は「ウクライナ軍が保有する各種榴弾砲・自走砲の発射可能なキャパシティ(1ヶ月間)」を示唆しており、レズニコフ国防相は「月平均で11万発の155mm砲弾をウクライナ軍は消耗している」とも明かしているため、砲兵部隊は発射可能な砲弾量の20%分=11万2,800発分しか使用していないという言及は「155mm砲弾」のことを指している可能性が高く、ロシア軍は月平均45万発もの152mm砲弾を撃っているという意味だ。
このニーズを満たすためエストニアは2023年末までに100万発の砲弾をウクライナに提供するようEU加盟国に要求しており「来週のEU首脳会談で何らかの決定が下される」と予想されているが、ドイツのHandelsblatt紙は「仮に提案が承認されても西側諸国の倉庫は空っぽだ」と指摘している。
欧州企業が1ヶ月間に生産できる155mm砲弾の数は月2万発~2.5万発に過ぎず、仮に生産分を全てウクライナに回しても2023年末までに供給できる数は最大22.5万発で、生産量を引き上げるにもしてリードタイムが発生するので2023年末までに100万発の砲弾を新たに用意するのは不可能なため「各国の備蓄分を解放しろ」という意味なのだが、もう欧州諸国の備蓄には自国の安全保障に必要な分しか残されていない=余剰備蓄が尽きており、EU域外からの調達に目を向け始めているらしい。