現代戦に於いて旧時代さながらの伝令兵が必要になる状況と言えば、やはり大規模かつ極めて広範な電子戦や
ネットワーク障害を食らって有線無線共にほぼ機能しなくなり、指揮命令系統が完全にマヒした・・

という状況でしょうな。

こうなると司令部や最寄りの部隊と連絡を取るにも一々伝令を出さねば最低限の意思の疎通すら測れないのですが、
無論こんな状況に追い込まれたら普通負けは必至であり、ここから巻き返すのはまず無理ゲーです。

グルジア紛争ではグルジア軍が、ナゴルノ・カラバノフ紛争ではアルメニア軍がそれぞれ効果的な電子戦によって
指揮通信系統に多大な支障を食らった挙句に完敗しています。

そしてウクライナ戦争の序盤でもロシア軍の大出力に物を言わせた電子戦によってウクライナ軍の通信や指揮系統は
広範に阻害されて適切な対応が取れず、ウクライナ領内深くロシア軍が急速に侵攻できた要因の一つになりました。

しかしせっかく大きな戦果を挙げたロシア軍の電子戦部隊も、あまりに強力すぎて友軍の無線通信にまで干渉したり、
大出力の機材を稼働させるために必要な大量の燃料の手当てが出来なかったりした為に、稼働停止に追い込まれました。

そしてウクライナ軍が緒戦の混乱から立ち直ると、電子戦部隊や車両群は真っ先に狙われ、燃料も大きく欠乏した
電子戦部隊はその大損害も相まって戦力の大幅な低下を強いられました。

もしロシア軍の電子戦部隊が当初の予定通り機能し続けていたら、ウクライナ軍も指揮統制の壊乱から立ち直れず、
伝令兵らが右往左往する中、首都キーウの失陥に至っていたかも知れません。