バフムトであと一歩で攻略できないまま長期化しそうなウクライナ戦争
振り返れば先発隊の空挺部隊がキエフで大敗、世界一を誇るロシア陸軍の戦車を大量に失う惨敗だった

赤の広場中に響く国民のため息、どこからか聞こえる「今年もキエフどころかハリコフすらもダメだな」の声
無言で赤の広場から帰り始める国民達の中、プーチンは独りクレムリンのベンチで泣いていた
かつてチェチェンで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるロシア軍・・・
それを今のウクライナで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」プーチンは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、プーチンははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って柔道のトレーニングをしなくちゃな」プーチンは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、プーチンはふと気付いた

「あれ・・・?国民がいる・・・?」
ベンチから飛び出したプーチンが目にしたのは、赤の広場を埋めつくさんばかりの群衆だった
千切れそうなほどにロシア国旗が振られ、地鳴りのようにプーチンウラーの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするプーチンの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ウラジーミル、柔道の練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったプーチンは目を疑った
「エ・・・エリツィン大統領?」 「なんだプーチン、居眠りでもしてたのか?」
「ブ・・・ブレジネフ書記長?」 プーチンは半分パニックになりながら、ウクライナの地図を見上げた

キエフもハリコフもへルソンもオデッサもリビウもバフムトも、全部ロシアになっていた

暫時、唖然としていたプーチンだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
メジンスキーからカツラを受け取り、赤の広場へ全力疾走するプーチン、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、クレムリンのベンチで冷たくなっているプーチンが発見され、プリコジンとゲラシモフは野戦病院内で静かに息を引き取った