ウクライナのメディアや関係者が「攻撃」という言葉を頑なに無視し、現在進行中の攻撃行動に関するあらゆる報道を「タブー」としているのは、ウクライナの政治・軍事のトップが、始まった戦いを例外的に重要視し、攻勢が無駄に終われば国内政治にどんな影響が出るか、ウクライナ社会の士気を損なう範囲で自覚していることを示す。そのため、ウクライナ軍の勝利という「勝利」と解釈できる結果を出すまでは、攻勢継続の事実を一切認めないという、現代史では前例のない決断がなされた。しかし、必要な「成果」が得られないまま時間が経過すればするほど、この「タブー」を維持することは難しくなる。戦闘の参加者やその親族、欧米メディアの報道などから、激しい戦闘や大きな損失に関する情報がウクライナの情報空間に流れ込み、ドンバスの夏の戦いが始まったという事実をすでに認識してしまっている。

これらのことから、今後1週間は、夏の陣全体の経過と結果を左右する決定的なものとなることが予想される。

ウクライナ軍が決定的な成功を収めることができなければ、これ以上の攻撃行動は意味を失い、人的・物的資源の不当な支出にしかならないだろう。つまり、ウクライナ軍は再び戦略的防衛に切り替えなければならなくなるが、それはもっと悪い条件で、ウクライナ軍の無敵と早期の「克服」を固く信じていたウクライナの集団的無意識の大きな失望を背景にしているのだ...。

ウラジスラフ・シュリギン
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