ISW論評
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-june-21-2023
ウクライナの反攻作戦のペースが全体的に予想より遅かったことは、ウクライナの広範な
攻勢の可能性を象徴するものではなく、ウクライナ軍は最初の挫折にもかかわらず、
将来の主要な取り組みに向けた条件整備に成功している可能性が高い。ウクライナ政府関係者は以前から、
ウクライナの反攻は漸進的かつ連続的な一連の攻撃行動になると示唆しており、
最近では、現在進行中の作戦はウクライナの反攻計画の主要な推進力にはならないという見解を示している[13]。

現在のウクライナの作戦は、単に領土的な目的だけではない可能性があるという観察は重要である。
ウクライナ軍は、ロシア軍を徐々に消耗させ、将来の主戦力のための条件を整えるために、
戦域全体にわたって複数の攻撃作戦を実施している可能性がある。双方に損失が生じるのは
避けられないが、ウクライナ側の周到な作戦計画は、ロシアのマンパワーを
低下させることが貴重な目的であるという、同様に重要な観察とともに、この現実を緩和し、
バランスを取ろうとしているのだろう。ワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンは、
特にウクライナ南部でウクライナ軍の攻撃が続いている結果、ロシア軍が人員と装備の面で
大きな損失を被っていることを懸念している。ウクライナ軍の反攻の成否は、
日々の地形支配の変化だけで判断すべきではない。ウクライナ軍の攻撃が前線全体に
及ぼすより広範な作戦意図は、さらなる攻勢に備えてロシア軍の能力を徐々に低下させ、
疲弊させ、消耗させることにあるのかもしれない。