「防衛大の新入生は入学して少し経つと、服に星がついた人間にしか挨拶しなくなる」
学生を変質させる学内の「圧迫教育」とカリキュラム間の「悪意の10分間」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5291219078aa2a5394b052f4d3fe03a28e48473c

防大の広い敷地のなかを歩いていると、たくさんの学生たちと行き交います。
この学校の「学生による挨拶」の形は「敬礼」なので、目が合うと敬礼する学生たちがいます。

彼らは新入生です。
しかし、そんな彼らも入学して半年もすると、敬礼が目礼や黙礼に変わり、
次第に、私たちのような文官教官のことは無視して、
上級生を含め、制服に星が付いた人間にだけ挨拶するようになっていきます。

では、実際どのようなプロセスを経て、学生たちの意識は変化していくのでしょうか。
たとえば、防大ではしばしばパレード行進のための訓練がおこなわれます。
こうした訓練や校友会活動は訓練部(自衛官を中心とした組織)が取り仕切っています。

それ自体は結構ですが、講義のはじめに学生が、
「パレードの訓練があるので早めに授業を終わらせてくれませんか」とお願いをしてくるのです。

そして、こちらが「なぜ早めに終わらしてほしいのか」と聞くと、
「16時35分に集合なので間に合わないのです」と答えます。
こうしたやりとりは、これまでに1度や2度ではありません。

そうであるなら、訓練部は訓練の集合時刻を「16時45分」に設定すればいいはずですが、彼らは絶対にしません。
その結果、学生たちへの懲罰を避けるために、折れるのは私たち教官となります。

こうして、パレード訓練の期間中、本来16時25分までの授業は、16時10分までになったり、16時までになったりします。
これは私だけでなく、7・8限を受け持つ、すべての教官が強いられる不条理です。

それ以外にも、校友会活動を理由に講義を休ませる(その際の書類も訓練部が差配します)のも、自由自在。
日々、そのような「パワーバランス」を見せつけられているうちに、
学生たちは学ぶことを軽んじるよう、人格形成されていきます。