>>476
「えっ、そんな!」
ギルドに還ってくるなり告げられた戦力外通告に、嫌気性細菌は困惑の声を上げるしかできなかった。
「僕がいなかったら熱水鉱床の探索とかも…」
「要らないんだよ、もうそんなのは」
「硫黄しか代謝できない菌じゃ産生エネルギーも知れてるだろ?」
今は如何に酸素を取り込んで効率よく代謝活動をするかが稼げるコロニーの鍵で、嫌気性細菌は最早お呼びではないのだという。

「でも、今までずっと一緒に仲間としてやって来たじゃないですか…」
「好気性生物の代謝物に寄生してるだけの菌株が仲間だって? 」
「笑わせるなよ、大気中に暴露してると死滅するような奴が」

大勢の前で嘲笑われ、感覚器が怒りで赤く染まるような感覚を覚えた。
彼らは僕を仲間だとなんて、思ってはいなかったのだ。
ただ大気に酸素が満ちるまでの間、熱水鉱床や泥中から得られるベネフィットをコロニーにもたらすためだけの存在。それが僕の立場だったということだ。

「じゃあな、これは餞別だ!」
そういうリーダーは僕に酸素ガスを浴びせる。
「うわっ、な、なにを…!」
「ハハハッ、そうやってれば少しは酸素呼吸出来るようになるんじゃないか?」
「親切だな、リーダーは!」

畜生、いつかこの屈辱と苦しみを、全ての好気性生物に味合わせてやる…!

そんな話なので?