〇以前に岡崎研究所の日中安保対話に出ていた時に、忘れがたい経験があります。そのとき、自分は全く
素のままの感覚で、「自分は日本がアジアで孤立しているとはまったく思っていない。日本外交に異を
唱えているのは中国と韓国だけですから」てなことを申し上げたのです。そしたら中国側の参加者が怒り
だして、もうまったく止まらなくなってしまった。まさしく「地雷は踏んでみなければわからない」。
しばらくは炎上、また炎上でありましたな。

〇当方としてはまったく他意はないのです。日本の歴史認識が問題だと言われても、日本軍がいっぱい
悪さをしているフィリピンなど東南アジア諸国は、2000年代でもう何も言わなくなっている。中韓だけが
ややこしいことを言うから、「アンタたちは少数派ですよ」と申し上げたわけです。彼らとしてはそれが
許せない。だいたい東南アジアごときと大中華帝国を同列に論じるとは何事ぞ。われらは14億人の偉大なる
民なるぞ。

〇でも、それってまったく夜郎自大な発想でありまして、今日の国際秩序は「どんな国でも等しく1票」
でなければならない。が、中国という国はそれが許せない。われわれの主張を無視できる相手がいるという
こともケシカラン。でも、それってまったく理屈にはなってない。いわば「気分」である。今の中国は、
著しく日本に「気分を害されている」のだと思います。

〇ただし中国も人口はインドに抜かれてしまったし、この分ではGDPでアメリカを抜く日も来なさそうだし、
今後はどうやってみずからを「偉大な国」と位置付けるのでありましょうや。BRICS会議あたりでも、
「1カ国1票」の原則は変えられないはずなのですが。ともあれ、かの国の「気分」はそんな感じなんだと
受け止めておく必要があるのでしょうな。