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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE021SO0S3A900C2000000/
習氏が北戴河会議で激怒 G20欠席、発端は長老の諫言

過去、中国共産党を支えてきた長老集団が、現状を心配するのは無理もない。「このまま政治、経済、そして社会の混乱が長引き、何ら有効な策も取れないなら、一般民衆の心が党から離れ、我々の統治そのものが危うくなりかねない」。そう真面目に思い始めたのである。

諫言の先頭に立ったのは、元国家副主席で江沢民の最側近だった曽慶紅だ。無名だった習が一気にトップになる道を開く上で、最も重要な役割を果たした曽慶紅も既に84歳になっている。

それでも、共産党の組織内に現在も陰に陽ににらみを利かせる実力者であることは変わらない。師事した江沢民が死去した今、長老を中心に幅広い人脈を持つ曽慶紅の役割は、逆に大きくなったという見方さえある。

世界に既に影響を及ぼし始めた問題は、まさにここから始まった。長老らから予想外の厳しい諫言を受けた習の内心が穏やかなはずはない。トップは別の場で怒りを爆発させた。それは、自ら引き上げた側近集団らの前だった。異様なその場面のほんの一端が、漏れ伝わってきている。

「不景気は鄧·江·胡三代の失敗」と激怒
「(鄧小平、江沢民、胡錦濤という)過去三代が残した問題が、全て(自分に)のしかかってくる。(その処理のため、就任してから)10年も頑張ってきた。だが問題は片付かない。これは、私のせいだというのか?」

習は言外に「長老らが指摘した『混乱』は、過去三代による『負の遺産』のせいであり、ツケである。自らの責任ではない」と言いたかったのだ。この発言は、過去三代の共産党トップに抜てきされた長老らに対する形を変えた反論でもあった。

もう少し習発言の行間を読むなら「今も残る大問題を一つ一つ解決するのが、自分が登用してやったおまえたちの第一の仕事であり、責任でもある」という心の叫びが聞こえてくる。その叱咤激励には、強い怒りが含まれている。

習の不機嫌な様子を目の当たりにした側近らは震え上がった。なかでも、責任を感じたのは、共産党内序列2位である首相、李強だ。世界経済の足を引っ張りそうな大問題が次々と明らかになっている中国経済。それを仕切る司令塔、実務担当者は、李強その人なのだから。