「西側の優秀な兵器があれば戦況を変えられるのだが」

 フィズルーク軍曹は私たちに、最近のロシア軍の攻撃は「非常に厳しい」と認めた。前線の兵士の士気は高く、敵軍を食い止めることができているが、ぜひ欲しいものが2つあるという。それは武器と弾薬、そして航空戦力だ。

 122ミリ自走榴弾砲は、ソ連時代の1970年代に実戦配備された、すでに旧式となった火砲で、同行したジャーナリストの遠藤正雄さんは、砲身を観察して「熱で色が変っている。煤(すす)もたまってだいぶ使い込んでいる」と言う。砲弾は精密誘導弾ではなく通常弾だ。兵器の数も弾薬の量もロシア軍が勝(まさ)っており、今のままでは攻撃を跳ね返すのがやっとのようだ。

「質と量の戦いだよ」とある兵士がつぶやく。弾薬を節約しながら狙いを定めて撃つウクライナ軍に対して、ロシア軍はめったやたらに撃ってくるというのだ。

 フィズルーク分隊長にウクライナの反転攻勢が滞っているのでは、と突っ込んで聞くと、「ゆっくりだが確実に一歩一歩前進している」との答え。しかし、大量に敷設された地雷と二重三重に構築されたロシアの防衛線を破って進むのは容易ではない。「西側の優秀な兵器があれば戦況を変えられるのだが」と、海外からの武器支援に期待を示した。