独ワインだと!?(88見ながら

和食に独ワインはいかが? 「売れ残り」から人気店に―日本人醸造家、創業10年
2023年11月19日07時03分
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【ダイデスハイム(独西部)時事】
本格的な和食にドイツワインを合わせたコース料理を提供する一風変わったレストランが、ブドウ畑の広がる独西部ダイデスハイムにある。
独ワインにほれ込んだ大阪府出身の醸造家徳岡史子さん(50)が開業し、今月で10年の節目を迎えた。
 テーブルにはお造りやだしの効いた吸い物が並び、グラスに注がれた「ゼクト」と呼ばれる発泡ワインがぷつぷつと気泡を立てる。
日本料理店「fumi(フミ)」は、平日でも予約の絶えない人気店だ。しかし歩みは起伏に富んでいた。
 起業家の父親が長年手掛けたドイツでのワイン醸造に学生時代から親しんだ徳岡さん。新たな醸造所の立ち上げを任され、
2013年、廃業を控えた1879年創業の「ヨゼフ・ビファー醸造所」の名前を継ぐ形で、本格的なスタートを切った。
 ところが昔なじみの従業員は次々と去り、実績のない新作ワインは卸業者に相手にされなかった。
当時はまだ幼かった2児を抱えるシングルマザーで、公私共に苦労が多かった。
 窮地を救ったのは、旧ビファー醸造所から引き取った売れ残りの在庫ワインだった。旬を過ぎた「問題児たち」だったが、
「熟成されたドイツワインは和食に合う」と常々考えていた徳岡さん。料理にワインを合わせるのではなく、
ワインに合った料理を出すことを思い付く。こうして生まれた「fumi」は、収益の柱に成長した。
徳岡さんは、年がたつのにつれて味わいが変わるワイン熟成を子どもの成長に例える。今の一押しは07年物のリースリングだ。
「バニラのような甘い香りが出てきた。去年までふさぎ込んでいた子のすごく良い面が出てきた」と慈しむ。
ゼクトなど年間十数万リットルのワインを生産。自社畑では有機栽培に取り組み、温暖化にも四苦八苦している。
日本向けの輸出が軌道に乗り、目下、一度ははね返された地元ドイツでの販路拡大に励んでいる。