送金なしには持たない国家運営



 過去一年半以上にわたり、ウクライナは西側からの兵器供与と資金援助を頼りにしてきた。武器・弾薬に止まらない。政府機能の維持、教育、医療、年金などを維持するのに必要な歳費の一部までもが西側からの送金で賄われた。

 ロシアによる侵攻が始まった2022年、ウクライナの実質GDP成長率は-29.1%と壊滅的に落ち込んだ。IMF は2023年のそれを+4.5%成長と見込んでいる。回復の兆しは見えるものの、破綻状態からのわずかな浮上にすぎない。

この戦争が始まって、ウクライナは穀物大国として日本人の間でも知られるようになりはしたが、もともとは国土の東部と南部で生産される鉄鋼や石炭の輸出と、ドニプル川流域の重化学工業で支えられてきた経済だ。その東部と南部の一帯は、半ば廃墟と化している。

 議会は11月、総額3兆3500億フリブナ(約916億ドル)からなる2024年予算案を採択した。歳入として見込まれるのは半分をいくらか超える1兆7700億フリブナ(約484億ドル)ほどで、不足額は1兆5800億フリブナ(約432億ドル)にのぼる。

 「事実上、税収はすべて軍のために使われる」 

 会見で、シュミハリ首相は、そう強調した。同時に、戦時下の物価高騰に対応すべく、最低賃金と年金の引き上げも表明した。

 2023年、西側は国際機関の融資プログラムを動員し、あるいは二国間の金融支援をおこなって410億ドルを送金して、この国の歳入不足を補填した。ウクライナ政府は、2024年もほぼ同額の送金がつづくことを当て込んで予算を組んでいる。送金がなければ、国家運営すらもままならない。