◆輪島市160カ所のうち8割近くが自主・臨時

「市の支給だけなら、全員飢えていたかもしれない」。
輪島市内で、30人が身を寄せる自主避難所の集会所を運営する主婦道畠裕子さん(66)は、そうこぼす。
食料は、住民が親類などを通じかき集めて不足はない。
ただ、「自助努力だけで長期間運営するわけにもいかず、先も見通せない」とため息をついた。

被災住民が、行政指定の避難所に入らず自主避難所を設置するのは、
指定避難所に人が多く集まり、収容しきれなかったことが要因の一つとして挙げられる。
輪島市では、開設された避難所160カ所(7日午後3時時点)のうち、市の指定避難所は35カ所にとどまり、
8割近くが自主避難所や市が臨時開設した避難所などとなっている。
市の想定を上回る被害が市内全域で発生したためで、郵便局や農協などのほか、ビニールハウスが避難所となっている例も。

◆市の担当者「対応が追いつかない」
56人が避難するJAの支店は、指定避難所の中学校などにいったん逃げたが、収容しきれなかった被災者が滞在できるよう、市が急きょ避難所として開設。
運営にあたる市職員の泉俊弘さん(32)は「水がなく手が洗えない状況で、清掃作業をする手袋がなく困っている」と話した。

避難所での生活をあきらめ、車中泊を選ぶ被災者も。
軽自動車で寝泊まりする男性(75)は「ガソリンがいつ切れるか分からず、節約しながら使っている。夜が本当に寒い」と漏らした。

市の担当者は「できる限り(避難所の)環境を整えたいが、道路が寸断され通信環境も十分でない中、対応が追いつかない」と話した。
インフラの復旧を急ぐとともに、長期の避難が想定され、仮設住宅を早期に設置することなどが求められそうだ。