「しばらく待機を」 熊本市長がSNSで教訓発信 能登半島地震
毎日新聞 1/5(金) 12:47配信

石川県能登地方を震源とする地震で、深刻化する被害状況が日々伝えられている。
被災地以外で暮らす中で「私たちにできることはないか」と考える人もいるはずだ。
ただ、震災関連死を含め276人が犠牲になった熊本地震(2016年4月)の経験者は、一般からの支援物資発送や災害ボランティアは
「ちょっと待って」と呼びかける。 被災地を思うからこそ知っておくべきことは――。

「一般の皆さんには発災直後はしばらく待機していただくことが重要で、発災直後の現場の混乱を避けることになります」。
熊本市の大西一史市長は2日、自身のX(ツイッター)に、そう投稿した。

大西市長は毎日新聞の取材に「被災地の受け入れ態勢が整わないうちに大量の物資が届けば支援が生かせないこともある」と語った。
Xでは「必要に応じて各自治体や関連団体から情報発信されますのでそれを待ってください」とも訴えた。

市の震災記録誌によると、熊本地震の発生直後は個人・民間企業などから支援物資が大量に届いた。
しかし、対応する職員や場所が不足。物資の内容が明記されていない段ボール箱も多く、負担が増した。

水道復旧後も飲料水が大量に届くなど避難所のニーズとのミスマッチも生じたという。
交通渋滞も起き、大西市長が投稿で「12時間待ちという状況でした」と振り返るほど荷降ろしに時間がかかったという。

大西市長は毎日新聞の電話取材に「被災地を混乱させないことも重要な支援の一つ」と強調。
その上で「報道で被害状況が分かると『何とかしたい』という気持ちになる。
気持ちは非常にありがたいが、ある程度の復旧が進み、数カ月後からの支援が非常に重要になる。

今は少し冷静になって、緊急の方以外は受け入れ態勢が取れるまで待ってほしい」と呼びかけた。(続く)