ウクライナ戦争誘発の責任は米国にあり トランプ氏なら終結へ道筋 東郷和彦

ロシアのプーチン大統領にとって、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大と、ウクライナに在住する
ロシア系ウクライナ人の保護の問題、この2点は絶対に譲れない問題である。

プーチン氏にとって、第二のレッドライン越えが14年2月の「マイダン革命」だ。親露派だったヤヌコビッチ大統領を
国外追放した騒乱と政変を引き起こしたのが、ガリツィア地方の若者だ。過激な民族主義を主張する人物も
決して少数派ではなく、プーチン氏は、そうした連中がウクライナで勢力を拡大すれば、ロシア系住民が
危険にさらされるとの判断から、一挙にクリミア半島を併合(14年3月)した。
このマイダン革命は、当時のバイデン米副大統領とビクトリア・ヌーランド米国務次官補(現国務次官)などの、
民主党のネオコン(新保守主義者)が演出した政変劇である。少なくとも、ロシア側の確信である。

米国の研究者ベンジャミン・アベローは、論文「西側諸国はいかにしてウクライナに戦争を持ち込んだか」(22年9月)で、
ウクライナ戦争を次のように結論づけている。「すべてを考慮した場合、第一の責任は西側諸国、特に米国にある」