そして2003年、国連の制裁なしにアメリカがイラクに侵攻し、「ルールに基づく世界秩序」にさらに強い打撃を与えた(当時はロシアと中国だけでなく、ワシントンの同盟国であるフランスとドイツも侵攻に反対した)。

そして2014年、ロシア連邦がコソボの前例によって「法的に正当化」したクリミア併合があった。そして2022年、同じ先例に基づき、ロシアは他の多くのウクライナ領土の併合を発表した。

もちろん、1999年のコソボ、クリミア、ドンバスの状況はまったく異なっていた。紛争の成り立ちや原因もまったく異なっていた。セルビア人とアルバニア人は、誰が正しく、誰が悪いのかについて正反対の見解を持っている。しかし、NATOによる空爆当時のコソボが国際的に承認されたユーゴスラビアの領土であり、ユーゴスラビア軍が分離主義運動に対する軍事作戦を実施していたという事実に疑問を呈する者はいない。ちょうど15年後、ウクライナ軍がドンバスで対テロ作戦を行っていたように。

だからこそ、プーチン大統領は「コソボの前例」にしがみつき、2014年以降、西側諸国にそのことを絶えず思い出させてきたのだ。