「戦艦シュペー号の最後」という映画がある。
独装甲艦アトミラール・グラーフ・シュペーによる通商破壊作戦〜ラプラタ沖海戦〜モンテビデオでの自沈を描いた作品である。
撮影には本物の軍艦が何隻も使われており、英軍側は実際にラプラタ沖海戦に参加した艦や、その同型艦が登場しているが、
シュペーは同型艦も全て喪われていたため、米重巡セイラムが代役を務めている。

作中、セイラム(シュペー)艦上で配置についている水兵が、M1ヘルメットを被っているシーンがある。
これは考証ミスではなく、米海軍が、たとえ映画の撮影でも、石炭バケツを被った俳優が艦上をうろつくことに難色を示したため。

なお、セイラムの外見がシュペーと全く異なることを含め、この辺の不自然さは、シュペー艦長役のピーター・フィンチに、
「我々は敵の目を欺くため、米軍艦に偽装している」という意味の台詞を言わせ、辻褄を合わせている。