https://www.hakusuisha.co.jp/book/b640032.html
スターリングラード(上)

20世紀の『戦争と平和』、戦争を貫くヒューマニズム
『人生と運命』(みすず書房)の読者が待ち望んだその前編となる全三巻。
人情味あふれる物語が居間のランプに照らされ、戦場の火炎に炙られる。
市民と兵士に、さらにはドイツ兵にも同情の視線が注がれたポリフォニックな群像小説。
本書は1942年4月のヒトラーとムッソリーニ会談から、主人公の一人クルイモフがヴォルガ川を渡って
スターリングラードへ入る9月まで、5カ月未満の物語だ。
冒頭、コルホーズ労働者が召集令状を受け取る心理描写の細やかさは、本書の典型的特徴だ。
「老練な赤軍の将軍、新米の民兵、恐怖におののく主婦を描くとき、グロスマンは分け隔てのない思いやりと敬意をこめてペンをふるう」。
そして「スターリングラード駅防衛戦の描写は『イーリアス』に匹敵しよう。
グロスマンが描く、24時間以内に確実に死ぬことを知っている若者たちの内面描写は真に迫っている」。

ワシーリー・グロスマン Василий Семёнович Гроссман( Vasily Semyonovich Grossman)
1905年、ウクライナのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻、卒業後は炭鉱で技師として働く。
30年代から小説の執筆を始める。独ソ戦中は従軍記者として最前線やトレブリンカ絶滅収容所を取材する。
そこでホロコーストの事実を世界で最初に報道する。
52年、『正義の事業のために』(本書『スターリングラード』の初出版のタイトル)を刊行。
60年、本書の後編にあたる『人生と運命』を完成させるが、KGBによってタイプ原稿を押収される。64年、死去。

https://calil.jp/book/4560092745
スターリングラード(上)

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