今日のISWレポート(一部抜粋)

ロシア占領下のクリミアに対するウクライナ軍の持続的な攻撃により、ロシア軍は既存の基地とロジスティクス施設を防衛するためにクリミアに追加の防空資産を投入せざるを得なくなっているようです。さらにウクライナ軍がこうした防空資産を攻撃すれば、クリミア半島がロシア軍の前線基地として機能不可能になる可能性があります。

ウクライナ軍情報本部長のキリロ・ブダノフ情報総局長は6月12日、ロシア軍がクリミアの防空網を強化する努力の一環として、S-500防空システムをクリミアに配備したと述べました。ブダノフ氏はロシア軍がS-500システムを実戦で使用したことがなく、「実験的」なシステムだと評価しています。

フォーブス紙は6月12日、ベルベク空軍基地周辺でウクライナ軍の防空施設への攻撃が成功したことから、同基地が「消耗の罠」になりつつあると報じました。同紙はウクライナ軍がここ最近の攻撃で4~5個のS-400システムを破壊した可能性があると指摘しつつ、ロシア軍には50個以上のS-400システムが残されていると付け加えています。

ウクライナ軍のクリミアでの防空網攻撃は、ロシア軍に更なる防空資産をクリミアに集中させる効果があり、その結果ウクライナ軍の追加攻撃の標的になる可能性があります。ISWはかねてよりウクライナ軍が組織的に防空網の破壊を図っている可能性を指摘しており、これによりF-16戦闘機などの有人固定翼機の運用が容易になる恐れがあると分析しています。

西側諸国はウクライナ軍によるクリミアのロシア軍標的攻撃を支持してきましたが、ウクライナ軍がロシア国内の標的を攻撃することが承認されれば、クリミアでの成功を再現できる可能性があります。