ああなんかフランスぽい

「ミラージュ2000-5F」は「ミラージュ2000C」をベースに1990年代から2000年頃にかけてアップグレードを行った改良モデルです。このとき、レーダーや電子戦システムなど搭載電子機器(アビオニクス)を完全に一新したことで、近代的な戦闘機へと大きく変わりました。

 特に注目すべき点は「MICA」空対空ミサイルの搭載です。このミサイルは発射後、自律的に目標をロックオンし撃破するため、パイロットは敵との格闘戦を回避し、安全な距離を保ったまま攻撃することができるのです
「MICA」と同様の空対空ミサイルとしては、同じくウクライナ空軍へ提供予定のF-16AMなどが搭載するAIM-120「アムラーム」や、ロシア空軍のSu-35などが搭載するR-77「RVV-AE」があります。

 ただ、それらと比べると「MICA」はかなり小さく、射程距離も短いという欠点もあります。なぜそうなったかというと、他国であれば別々のミサイルとして開発・生産される、格闘戦用の短射程ミサイルと、主力となる視程距離外(BVR)ミサイルを、フランスは「MICA」1種類で賄おうとしたからです。

 搭載ミサイルが1種類で済むなら、運用の効率化を図ることが可能です。そのような設計思想によって「MICA」は開発されたため、BVRミサイルとしては射程が短く、短射程ミサイルとしては機動性が低いという欠点を含有する形になってしまったと言えるでしょう。