イギリスのエンジン開発が遅れた大きな原因の一つは
FCAS(テンペスト)は開発参加国の構成により、必用とするエンジンの性能が大きく変わるという問題を抱えていた
参加国のメンバーが決まり、要求性能が決まらないと必用なエンジンの性能が決定できないという開発手法上の問題を抱えていた
メンバーによっては、大型機か小型機か、単発機か双発機かという事からすらも要求が違う
実証エンジンで技術開発をしてる間に、要求性能を纏めてから必用なエンジンを開発するというスタイルになってしまう
それでいて実用化時期を2030年代中頃という話で、英国防省は対外交渉を行っていた

それに対してXF9-1は日本が考える将来戦闘機に必用な推力を最低限は達成できる性能を目標に据えられた
将来戦闘機のコンセプトも2010年頃からほとんど変わってない
比較的大型な双発機で、空対空戦闘を第一にした戦闘機というコンセプトは開発開始まで変わらなかった
日本は実証エンジンではなく、いきなり将来戦闘機用エンジンのプロトタイプを開発できる環境にあった
しかも、政治的に研究開発費を次期戦闘機関連に集中的に投入できる政治的根回しもされていた

それに対してイギリスは、研究開発すべき対象が日本より広く、1事業あたり予算は薄く広くなるという問題があった
戦闘機開発にリソースを集中投資という事が政治的に難しかった
しかも、戦闘機開発事業の中でも予算の奪い合いが発生してしまった
BAEを中心とした実証機製作推進グループが研究開発費を多くとり、エンジン開発は冷遇される結果となった
それゆえにダラダラと日本と実証エンジン開発事業の協議を続けることになり、合意しても事業化が遅々として進まなかった
予算配分を戦略的に考える人物が英国防省内にはいなかったようだ
こうした色々な要素が重なりエンジン開発は致命的に遅れてしまった