>>665より抜粋
(前略)
イスラエルと米国、中東の当局者らによると、モサドは現代版「トロイの木馬」と呼ばれる「ポケベル爆弾」の作戦を2022年に初めて構想した。
パレスチナのイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃によりガザ地区で戦争が始まる1年前だ。

モサドは数年間にわたりデジタル監視とヒューミントを通じヒズボラに浸透するため努力してきた。
これによりヒズボラは一般の携帯電話さえイスラエルの監視網に入りかねないと懸念しモニタリングを防止するための通信装置を探してきた。

モサドはヒズボラがこうした懸念をしない装備を購入するよう誘導する2種類の計略を準備した。

まずモサドは2015年に、爆発物と盗聴器などが隠された無線機(ウォーキートーキー)をヒズボラが購入するよう誘導した。
モサドはこの無線機を通じてヒズボラを盗聴することで満足したという。

その後ヒズボラが購入するようモサドが誘導したのが今回爆発したポケベルだ。

ヒズボラは昨年台湾のブランドであるアポロのポケベル「AR924」を大量に購入するよう勧誘を受ける。
ヒズボラは当時ある台湾企業の中東営業担当者だった女性からこうした提案を受けたという。
ヒズボラが警戒する恐れがあるため米国やイスラエルと特に関連のない台湾のブランドを前に出したのだ。

しかしこのポケベルの実際の生産はアウトソーシングされイスラエルで行われたとされる。
ヒズボラに購入提案をした女性はこの事実を知らなかったという。

ヒズボラはこのポケベルが大型バッテリーだけでなく、追跡の危険がないものとみられるなどと判断を下し、今年2月に5000個を購入して配った。

AR924は重さが85グラムにも満たないが、ここに強力な爆発物が内蔵されていた。
装置を分解しても事実上わからないほど爆発物が精巧に隠されていると当局者らは説明した。(続く)