>>137の続き

しかしこの記事の最後がこんな風に結ばれているのがかなり残念。
確かに今熊本のTSMC第1工場でテスト生産している半導体は最先端とは呼べないものの、建設中の第2工場及び計画中の第3工場と
その関連企業で製造するパワー半導体などはかなり先を狙っているのだが。 更に言えば熊本工場への補助金は約半額の8千億円。
------------------------------------------------
それどころか、政府はインテルに、1kW時あたり10セントの電気を20年間保証するという。
政府は近隣の風力電気をフルに使うつもりだろうが、風はいつも吹いているわけではない。
ドイツの通常の産業用電気は20.3セントだから、政府はここでも、かなりの補助を余儀なくされるだろう。
インテル誘致計画は、一から十までかなり無謀である。

なお、ここまで聞いて日本人が思い出すのは、熊本のTSMC社の誘致だ。 インテルとTSMCが手にする補助の金額はほぼ同じ。
最先端の半導体を作る予定がないところも同じだし、生産のための原料や半加工品の大半が依然として中国や台湾から来ることも、
環境問題で綱渡りになりそうなことも同じ。そして、本当にドイツや日本に最終的な利益が落ちるのかという懸念も同じだ。

今年の4月、フランクフルト証券取引所のCEOは、「ドイツは見切り品ショップになってしまった」と語った。
つまり投資家は、よほど良い条件が提示されなければドイツには投資しない。
それがインテルへの巨額な補助金につながった。 ひょっとして、日本もそれと同じなのか。

巷では、「半導体覇権」などという言葉が飛び交い始めている。
かつてハイテク産業国として栄えたドイツと日本なのに、その栄光はすでに手からこぼれ落ちかけている。
もう一度、テクノロジーを取り戻すには、まずは学校教育を立て直すべきではないか。
遠回りであるようでいて、それが一番の近道だと、私は確信している。
----------
川口 マーン 惠美(かわぐち・マーン・えみ)