■「ロシアはウクライナに対する武力の行使を直ちにやめるべきだ」とターク人権高等弁務官が断言

(ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官の国連人権理事会での応答より)

最近、平和という言葉をあまり耳にしなくなりました。
ウクライナ情勢は、絶え間なく続く一連の苦難にあらたに加えられた一つであり、世界の関心は、私たちが直面している複数の危機に飽き飽きしているかのようです。私はウクライナの人びとのことを思います。人びとは国連憲章と国際法に従って平和を享有する権利と資格があります。しかし、今はそれどころではありません。私は、紛争が長期化し定着することで、今後何世代にもわたって人びとの生活や人権に影響が及ばないかと恐れています。
ロシアによる本格的なウクライナ侵攻から662日が経過しました。私の事務所は、ウクライナ人権監視団(HRMMU)による広範な監視と記録を続けています。何十年もかけて培われた厳格な手法によるものです。この作業では、主にロシア連邦軍による、国際人権法の重大な違反、国際人道法の重大な違反、戦争犯罪が明らかになり続けています。
その中には、2022年2月以降、ロシア軍に支配された地域、あるいはロシア連邦に占領された地域で、民間人が略式で処刑された142の事例が含まれています。占領地では、性暴力を含む被拘禁者に対する広範な拷問や虐待、多数の強制失踪が記録されています。
さらに、ロシア連邦は、攻撃の影響から民間人や保護された民間物を保護するための適切な措置をとっていません。