デビ斧先生もウクライナ軍のヘリ損耗におこの模様

ウクライナ軍、貴重なヘリを一度に3機損失 補給中をまた狙われる
David Axe | Forbes Staff

2カ月で2回目の出来事だった。ウクライナ東部で先週、ウクライナ軍のヘリコプター数機が燃料と弾薬の補給のため前線近くに着陸したところを、上空で監視していたロシア軍のドローン(無人機)に発見された。

直後にロシア軍の長距離兵器が飛来し、駐機中だったヘリのうち3機が爆破された。使われたのは、地上から発射されるイスカンデル弾道ミサイルだった可能性がある。

この損失は、ウクライナ軍の小規模な航空戦力にとっては深刻な被害だ。それはまた前線の全体で、ウクライナ側が十分な防空体制を確保できていないこともあらためて浮き彫りにした。

全面戦争の開始から2年後まではFARPはそれなりに安全だった。ウクライナ側の防空兵器によって守られていたうえ、ロシア側の「キルチェーン」(目標の探知から攻撃の承認、実行、評価にいたるプロセス)も遅かったからだろう。

しかしその後、ウクライナ軍の防空弾薬は枯渇した。ロシア軍のキルチェーンは、新たな通信システムの導入などによって速くなった。英陸軍のブレア・バターズビー下級准尉は米陸軍訓練教義コマンドに寄せた論考で、ロシア軍は「新しい技術を用いてセンサーとシューター(射撃手)の連携を向上させている」と指摘している。

ウクライナ軍に4個あるヘリ運用旅団は現状、機体不足の危機が差し迫っているわけではない。2022年2月にロシアが戦争を拡大した時点で、4個旅団は全体でMi-24を約40機、Mi-8を約60機保有していた。その後の戦闘でヘリを44機失う一方、飛行不能だった古いヘリの一部を修復し、さらに支援諸国から代替機としてヘリ90機以上を供与されている。

ではウクライナ軍はヘリの損害をあまり心配しなくていいのかと言えば、そうではない。ヘリ1機を失うごとに搭乗員2人以上が死傷する可能性があり、経験豊かな搭乗員は機体よりも代替が難しいからだ。

ウクライナ側が弾薬・燃料補給の一段の迅速化やFARP上空の防空強化、より安全な夜間の作戦への移行、あるいはこれらの組み合わせといった措置を講じなければ、狙われやすいFARPでの損失は今後も続くおそれがある。