>>609
創作じゃないガチの体験談とかは、オチなんかつかないんで面白くはならんのだよな
たとえば西伊豆スカイラインでガチで遭遇したやつでこんなのがある

 2016年6月4日、その日は曇りで肌寒く、正直ツーリング日和とは言えない。ただ、ざっと西伊豆スカイラインを流したあと伊豆半島をぐるっと回って、熱海で宿泊という予定で流すことにした。
 春秋ジャケットでちょうどよいくらいの気温のなか、朝6時に西伊豆スカイラインへと到達した。そこからは、本当に軽く流す感じで快走路を走っていた時のこと、ふと違和感を覚えた。
 なにか、コーナリングが、重い。

 走りなれた道で、走りなれたバイクだ。なのに、今日はなぜだか、車体を倒しにくい。
 不思議に思いながらワインディングを流していた時――ふと、気づいた。

『あ、これタンデムしているときの重さに似ている』 

 正直タンデム経験などほぼゼロだったためなかなか気づけなかったが、その数少ない経験を思い出すと、まさにそれなのだ。
 思わずサイドミラーを見るが、そこには何も映っていない。まあ、サイドミラーでは真後ろは見られないため、見ても無駄だが。
 そして意識するとより一層、後ろに誰かがいるような気配がしてくる。すっ――と、俺のベルトをつかんでいるような、感触がある。

 だが、不思議と恐怖は感じなかった。そのまま倒しにくい車体をなんとかコントロールし、無事西伊豆スカイラインを走り抜ける。
 そして136号に合流したところで、その違和感は消えた。
 あれはいったい何だったのか、よくわからない。

 ただ後日、西伊豆スカイライン入口からすぐのコーナー先にある崖下から、ライダーの遺体が発見されたというニュースを聞いた。
 もしかしたら、そいつだったのかもしれない。