>>623

 世界最大の石油埋蔵国は現在、サウジではなくベネズエラである。
 石油埋蔵量の統計として権威があるOil & Gas Journal(OGJ)は、2010年版以降、ベネズエラのオリノコ河流域一帯の超重質原油である「オリノコタール」約1120億バレルを商業的に生産可能として、石油確認埋蔵量として計上した。その結果、OGJの2018年末時点の確認埋蔵量は、ベネズエラ3028億バレル、サウジ2663億バレル、カナダ1674億バレルの順になっている(表1)。石油埋蔵量は、一般に、「ある時点における経済条件と技術条件で商業的に回収(生産)可能と評価される量」と定義される。そのため、原油価格の上昇や技術の進歩によって、拡大することもある。
 オリノコタールは、従来型の原油とは異なる鉱床から回収される「非在来型原油」の一種である。アスファルトのように超重質で、粘度が低く、硫黄分が多く、低品位で、生産・出荷には手間がかかる原油である。出荷には、ナフサないし超軽質原油を希釈材とするブレンド、あるいは改質によるアップグレイドが必要になる。そのため、今年1月以降の米国による経済制裁で、ナフサなどの希釈材が輸入できず、減産に拍車をかけwている。また、ベネズエラの超重質油の生産コストは10ドル前半だが、出荷コストはかなり高いと見られる。
ieei.or.jp/2019/06/expl190620/