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問題は、この差がさらに広がっていることにある。 造船能力に差があるためだ。
米海軍情報局の資料「中国海軍の建造傾向と米国海軍の建造計画(2020-2030)」によると、中国は米国最大の造船所よりもさらに規模が大きく
生産性の高い商業用造船所を数十カ所保有している。
昨年7月に流出した米国海軍のブリーフィング資料には、米海軍情報局が評価した米中の造船能力の差がグラフィックでまとめられているが、
一国が一年に建造できる総トン数の基準で、中国造船所の生産能力は約2325万トンとされる。
一方、米国は10万トン以下だという。 中国の生産能力が米国の少なくとも232倍に達するという意味だ。

■世界1位の米国造船業、没落の元凶は米国

強力な米国の造船業は、第二次世界大戦における勝利の立役者だった。
ドイツ海軍の潜水艦攻撃で「米国-欧州」間の大西洋補給路が塞がれると、米国は「リバティ船」として知られる貨物船を大量生産して補給に活用し始めた。
単純で効率的な設計で素早く造ることに特化した「大量建造プロジェクト」だった。 短くて数日で1隻の船が完成した。
このような形で1941年から1945年までの間に計2710隻のリバティ船が誕生した。
大量生産されたリバティ船は、船舶の損失を速やかに埋め、大西洋の補給路を復活させた。
リバティ船が運んだ莫大な品物は連合軍の勝利に決定的に貢献した。

しかし、米国の造船業は戦後、徐々に没落していった。造船業を保護するために制定した法律がその原因だった。
1920年に誕生したジョーンズ法は、米国内の貨物運送に使われる船舶の米国内での建造を義務付けた。
同法によって、米国の造船業は外国の造船業者との競争から免れ、安定的に受注できるようになった。

ところが、結果は意図とは真逆のものだった。外国との競争から保護された米国の造船業は、徐々に競争力を失った。
海外の造船所が造った安くて良い船の代わりに、国内の造船所が生産した高価で質の悪い船を使わなければならなかった。
それによって海上運賃が上がった。

運賃の上昇に伴い、海上運送の需要が減った。 輸送需要の減少で、船の注文も減った。 メンテナンスの仕事もなくなった。
悪循環だった。 造船業そのものが衰退した。(続く)