「推しの子」アニメ化「KADOKAWA」もう一つの顔
井上伸一郎・作家・プロデューサー
毎日新聞 2025年1月8日

2024年の年の瀬。東京都内のホテルで、KADOKAWAグループ傘下のアニメスタジオ合同忘年会が行われた。 参加者は400人近く。
KADOKAWAのハウススタジオは現在六つを数える。 出版社として知られるKADOKAWAだが、実は日本で最も作品数を作り続けるアニメ製作会社の顔を持つ。

「KADOKAWAは年間40本のテレビアニメを製作している。 そして、今の本数がボトム。 
現在年間300億円を超える売り上げがあるが、3年後にはこれを1.5倍まで伸ばしたい」。 そう語るのはKADOKAWAの菊池剛チーフアニメオフィサーだ。
5年前に初のハウススタジオ「ENGI(エンギ)」を立ち上げたのを皮切りに、自社スタジオの設立を加速させてきた。

・待遇改善進むアニメスタジオ
優秀なスタッフを抱えるアニメスタジオと関係を強化するためには、新しい企画のたびに声をかけるのではなく、ハウススタジオ化するのが早道だ。
薄給が話題になりがちなアニメスタジオだが、昨今は待遇改善が進み、スタッフの人件費も高騰している。 テレビアニメの制作費もそれに合わせて増加傾向だ。

「単に制作本数を増やしただけでは、原価高のなか利益が薄くなる。
企画数を増やすのではなく、ヒットシリーズの続編を作って話数を増やすなどの工夫が必要。
安定して作品を作り続けるにはハウススタジオを増やすしかない。
ENGIは3D(三次元)作画に定評があり、KADAN(カダン)は世界レベルのCG(コンピューターグラフィックス)、キネマシトラスはクオリティースタジオ。
それぞれの個性に合わせた企画を選んでいる。

・ご縁があればもっとスタジオを増やしたい」

出版社であるKADOKAWAゆえ、原作サイドとのコミュニケーション能力も高い。
集英社原作のヒット作品「【推しの子】」は、原作のマンガが完結するタイミングを見据えてアニメ制作が行われた。(以下有料記事)
(続く)