>>95
例によってだが、理屈を知らない人間にはその辺の解説は無理だから聞いても無駄

移動目標に当てるためには、砲弾が飛ぶ時間経過後の目標未来位置を計算してに向けて撃つことが必要

そのためには、
@目標の現在位置を観測し、
Aその刻々の変化率から目標の速度と針路を計算する
BAから砲弾が目標に到達する時間経過後の目標未来位置を計算して砲塔に伝達し、
C砲側ではBの指示通りに砲を旋回俯仰させ信管秒時を調定し、時間をかけずに発射する
ことが必要

@Aは、目標を持続的に照準することで刻々の方位と仰角の変化を記録し、測距を組み合わせることで三次元空間内の目標の位置変化を認識する

ところで方位角、仰角、距離の変化率観測には、対応可能な範囲が存在する
例えば目標が高速でも遠ければ、時間あたりの方位角仰角変化つまり角速度は小さいから追尾できるし、低速でもすぐ目の前を横切られれば角速度が大きく機構的に追尾できない
このように角速度は速度と距離で相対的に決まるので、本来は対応可能速度として400ノットなどの絶対値は出てこないが、飛行機の性能や射程から非現実的な高速や遠距離を想定する意味はないので、操作者向けの目安として絶対速度や距離が対応範囲として示されることはある
また左右と上下で角速度の測定範囲に機構的な違いもあり得る

ようやく本論だが、急降下爆撃は目標のほぼ直上で高速で急降下する
ヘルダイバーの場合は時速400キロ以上で3,000メートル降下するので角速度が大きくかつ上下変化
しかも降下時間は単純計算で30秒
水平飛行から急降下に切り替わったところで角速度を再計算して諸元を砲塔に伝達し、砲側で操砲や信管調定の対応をするのは非常に難度が高いことが分かる

逆にビスマルクを雷撃したソードフィッシュの場合、目標が遅過ぎて角速度が計算範囲下限を下回っていたために射撃指揮が困難だったとされている
機器には観測誤差があり、測定値が小さいと観測誤差の干渉比率が大きくなるので信頼度が下がる

というわけで急降下目標の対策は、本来は機銃の仕事
そのために高角砲に加えて機銃を搭載している
距離や速度を目測する簡易な射撃指揮装置で、観測→計算という時間のかかるプロセスをスキップし、曳光弾の連射により弾道誤差を逐次修正できる