トランプの停戦ディールのスタイル自体は、懐柔手法としては全くの的外れというわけでもない
バイデン政権時は「アメリカは全面的にウクライナの肩を持つ」という立場で、この戦争の当事者としての性質が強かった
今トランプが実質やろうとしているのは子供同士の喧嘩を宥める大人の役で、これも喧嘩の当事者である子供達よりも強い力(アメリカの金と軍事力)を持っていないと出来ない
バイデンはプーチンとの交渉に消極的だったから、プーチンの戦争の動機と目標は、西側と十分な認識共有がされなかった
宥めるならキレて暴れてる子供の言い分を聞き出す必要があり、それは当事者の子供同士は引き離して聞き出した方がいい
喧嘩の真っ最中の子供達をいきなり同じ席で言い分を話させると、子供間の言い争いが始まって話が進まなくなるから

さらにプーチンが西側勢力に恐怖心を抱いているのは立場的に当然なので
「どうしてこんなことしちゃったの?」とプーチンから聞き出すなら、聞き出す大人自体に恐怖心を抱かせたままでは成立しない
プーチンの言い分を詳細に「公開させる」のは、その内容がロシア国民への説明や約束といった言質として機能させられる意味もある
プーチンは裏切るにしても相手が西側とロシア国民では負うデメリットも違うので、言質を増やすことでプーチンの行動を着実に制限していける
制限した後でないと暴れやす過ぎるので、西側の都合との折り合いを迫ることが出来ない

西側視点においてこの戦争で暴れているのはプーチンという悪ガキで、かつアメリカは良識ある子供の肩を持って当然の良識ある大人の立場からスタートしているので
どうせ大人には理解されない怒られるだけだと怯えている悪ガキを、落ち着かせて話を聞き出すには初動は悪ガキに寄り添った態度を取る必要がある
悪ガキが暴れるのをやめることを納得できる落としどころと、元から話が通じる良識ある子供の真っ当な都合との擦り合わせはその後の作業になる

問題は今までのトランプおよびその一派の他の言動から、彼らにそういう大人役としての信用が無いことと
相手がプーチンでありロシアという国であるという信用の無さ
懐柔した後の作業を成し遂げられる期待を抱き難いトランプ政権
懐柔の打算を織り込み済みで利用だけしようとするきらいのあるプーチン