クレバ氏は外相として各国に武器の供与などの支援を求め協力を引き出してきました

「ヨーロッパのすべての国がウクライナのために力になろうと武器を送り兵士を訓練し、医療支援を
行いました。問題はすべてに時間がかかりすぎたことです。
さらに、ウクライナへの侵攻が始まったとき、ヨーロッパは自分たちで武器をほとんどつくっていませんでした。
ですからウクライナに送ろうと思っても必要な量を送るすべがなかったのです」
「ヨーロッパには非常に大きな軍事産業があり、各国政府はウクライナのためだけでなく、自分たちのため
に武器の生産への投資を行うべきです。
ソビエト連邦の崩壊後、ヨーロッパは戦争の時代は終わったと判断しました。1991年から2000年代初め
にかけて、ヨーロッパは武器の生産には投資してきませんでした。
その後ロシアは変わったのにヨーロッパはそれを無視してきたのです。
ヨーロッパは武装解除された状態です。もしプーチン大統領が今、ヨーロッパを攻撃するだけの能力があった
とすれば、それに対抗する力はまったくないでしょう」

ロシア人の学生からの質問でした。緊張していたのか、少し声が震えていました。
「私はロシア人です。不適切な質問かもしれませんが…ウクライナがロシアと再び通常の
外交関係を築くとしたら、その条件はどのようなものでしょうか」
「謝罪です」
クレバ氏は間髪入れず、語気を強めてそう答えました。
「ロシアの、何という名前の大統領であろうと、ウクライナに来て、ひざをつき、そして謝ることです」
会場からは大きな拍手がおきましたが、クレバ氏ははっとした様子でした。
「あなたの気持ちはわかります。気持ちを強く持って。その機会はくるはずです。
この会場にいるヨーロッパの人たちは何世紀にもわたって互いに戦い続けてきたのに今は平和に暮らしているのですから」
祖国であるウクライナへの思いと同時に、ロシアに対する怒り、そしてその怒りを一瞬でも
1人の学生にぶつけてしまったことへの複雑な感情をかいま見た気がしました。