>>501の続き
・エジプトも中国製防空システムを取得

HQ-9Bをめぐっては今回の報道の1週間あまり前、エジプトが取得済みであることを同国の元軍高官、サミール・ファラグが地元テレビ局サダ・エルバラドの
インタビューで認めていた。
これに先立って外交専門誌ザ・ディプロマットも5月、エジプトがHQ-9Bの購入を確認したと伝えており、中国によるその輸送では、かつて内陸国のセルビアに
紅旗-22(HQ-22)地対空ミサイルシステムを納入した時のように、運-20(Y-20)大型輸送機が使われるかもしれないとも推測していた。

同等の戦略防空システムでエジプトが直近に発注していたのも、やはりロシア製のS-300VMであり、2010年代半ばのことだった。
この間、エジプトはドイツにIRIS-T SL中距離防空ミサイルシステムも発注しており、2024年10月に初公開している。

エジプトがロシアのS-300VMを追加発注するのでなく、新たに中国のHQ-9Bを導入したのは、可能な限り軍備の調達先の多様化を図るという同国の一貫した
方針に合致している。
ただ、これは同時に、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻以降、ロシア製兵器の外国ユーザーに対してロシアからの部品供給や技術支援が慢性的に
遅れている状況を受けた、リスクヘッジという意味合いもある。
仮にエジプトのS-300VMが運用不可能になった場合、代わりになり得るHQ-9Bのような同等のシステムがなければ、エジプトの戦略防空体制全体が著しく
弱体化しかねない。

エジプトはさらに2018年に発注していたSu-35の契約も、米国による制裁を受ける懸念から取り消している。
そうしたなか、中国がこの春、エジプトとの合同軍事演習にJ-10Cを派遣したことは、エジプトは代わりにこの中国製戦闘機を取得するのではないかという
臆測を呼んだ。 もしそうなれば、中国はこの地域でロシアに対してもうひとつ勝利を挙げるかたちになる。

一方、アルジェリアは最近、もともとエジプト向けに製造されたSu-35の一部を受け取った。
これらは、最終的にイランに引き渡されるのではないかと噂されていたロットの一部でもあった。
(中略)