ウラジミール・プーチンを止めるにはどれだけの費用がかかるだろうか? -THE ECONOMIST

私たちの試算では、ウクライナは2026年から2029年の4年間で、主に欧州からの資金と武器を合わせて約3,890億ドル必要とする(一貫性を保つため、ドル建てで価格を一定としている)。これは、2022年2月の開戦直前以降、欧州が供給してきた約2,060億ドルのほぼ2倍にあたる。同時期に、アメリカは約1,330億ドルの資金と武器を供与している。言い換えれば、NATO加盟国がアメリカ抜きでウクライナを支援するコストは、 GDPの約0.2%から0.4%に増加する必要がある。欧州がこの課題を乗り越えられるかどうかは、「戦略的自立」への意欲の試金石となるだろう。

この資金はどこから調達されるのだろうか?EUは2027年までに150億ドルの拠出を予算計上している。アメリカ以外の非欧州諸国は、ウクライナに年間20億ドルを拠出するだろう。規制と資本規制によって国債保有を促されている国内国債購入者も同様に拠出するだろう。IMFは約100億ドルの拠出を見込んでいる

EUが残りの資金不足を補うために活用できる資金は、当初2つある。1つ目はEU自身の予算だ。現在の予算は既に使い果たされているものの、欧州委員会は2028年から始まる次の7年間でウクライナに1170億ドルを拠出したいと考えている。そのためには、他の分野で大幅な節約が必要となる。

2つ目の資金は、いわゆる「賠償融資」で、欧州(主にベルギー)の口座に凍結されている1630億ドル相当のロシア国家資産から融資される。ベルギーの抵抗の有無にかかわらず、「賠償融資」が実現することを疑う人はほとんどいない。なぜなら、今後1、2年でウクライナに資金を提供する唯一の手段だからだ。それが枯渇すれば、明白な解決策は、EUの8000億ユーロのパンデミック後復興基金に倣った、欧州共同の借り入れとなるだろう。しかし、ドイツ当局者は、EU債が欧州の財政規律を損ない、 EU内の親ロシア派指導者による拒否権行使にも脆弱になると懸念している。「主な問題は連邦議会ではなく、(ハンガリーの)オルバーン・ビクトルだ」と、ある当局者は言う。

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https://www.economist.com/international/2025/10/30/what-will-it-cost-to-make-vladimir-putin-stop